アガパンサスは、育てやすく植えっぱなしで毎年花を咲かせてくれる草花です。青や紫といった清涼感溢れる色彩の花が、夏にひときわ目を引きます。こちらの記事では、アガパンサスの育て方や、株分けでの増やし方、植え替え方法、いくつかの種類をご紹介していきます。
アガパンサスとは?
アガパンサス
科・属名 | ユリ科 アガパンサス属 |
園芸分類 | 草花 |
形態 | 多年草 |
耐寒性 | 強 |
耐暑性 | 強 |
アガパンサスの特徴
アガパンサスは青や紫などの花色で、夏に花を咲かせるため、暑い時期を涼しげに飾ってくれる花として人気があります。
水仙のような細長い葉をしており、上へと伸ばした花茎から小さな花が集まって咲きます。
花が集まった部分は、ボールのような形になったり、半円球状になったりと、形はさまざまですが、いずれも大きくボーリュームがあるので華やかです。
また、冬も常緑で越冬するタイプと、落葉して地上部を枯らすタイプがありますが、後者の方が耐寒性が強いとされています。
どちらも植えっぱなしで育てることができますが、寒冷地では常緑のアガパンサスに対しては、室内で越冬させた方が無難でしょう。
アガパンサスの種類
原種は3つの種類がある
アガパンサスの原種は、アガパンサス・アフリカヌス、アガパンサス・プラエコクス・オリエンタリス、アガパンサス・イナペルツスの3種類があります。
このうちのプラエコクス・オリエンタリスからは、アガパンサスの多くの種類が生まれており、日本でもたくさん栽培されています。
30〜40cmの小型なタイプや、70cm〜80cmほどに生長する中型タイプ、1mを超える大型の品種など、サイズも種類によって異なるので、植える場所によって草丈を合わせることもできます。
アガパンサス・ガーデンテーブル
オリジナル品種! 見事な花付き!アガパンサス‘ガーデン テーブル’苗 1株
淡く優しい紫の色合いが人気のガーデンテーブルは、草丈が120cmにもなる大型の種類です。イングリッシュガーデンや和風の庭にもよく合います。
アガパンサス・紫式部
濃い青紫色が特徴の紫式部。品があり、辺りを優雅な雰囲気にしてくれます。90cm〜110cmほどの草丈に生長し、花は13cmほどの大きさになります。
アガパンサス・青い空
オリジナル常緑品種! 見事な花付き!アガパンサス‘青い空’苗 1株
爽やかで清涼感たっぷりのアガパンサスです。白い花びらに青く入る線がとても綺麗で、見ごたえがあります。冬は常緑のまま越冬します。
アガパンサス・ブルーヘブン
美しい青が花壇や庭を華やかに引き立てます。こちらの種類は夏と秋に開花する二季咲き品種。目を奪われるような花を二度も楽しむことができるので、特におすすめしたい種類です。
アガパンサスの育て方
環境
環境への適応能力が高い花
アガパンサスは、日当たりがよく、水はけのいい場所で育てましょう。
しかし、環境への適応能力が高いので、日陰でも育てることができます。
その分、日向で育てるよりも花付きが若干悪くなりますが、日陰の緑化材料としては貴重な花なので、思い切ってシェードガーデンに植えてみるのもおすすめです。
冬越しの仕方
アガパンサスの種類によっては、冬の間に常緑のまま越冬するタイプがあり、落葉するタイプよりも耐寒性が多少劣るため、少し気になる場合があるでしょう。
霜や寒さで葉が痛むこともあるので、マルチング材を使って冬越しの対策をとると安心です。
マルチング材のバークチップや腐葉土を使って株元に敷き詰めたり、麻布を被せて覆ってあげたりすると、霜除け対策になります。
寒さが厳しい寒冷地では、常緑性のアガパンサスが枯れてしまうこともあるので、鉢植えに植え替えて、室内で冬越しをさせた方がいいケースもあります。
それぞれの地域に合ったタイプのアガパンサスを選ぶと、より育てやすくなるでしょう。
用土
水はけがよければOK
アガパンサスは通気性・排水性さえよければ、特に土質を選びません。
地植えにするときは、赤玉土を入れてあげると、水はけがよくなるでしょう。
鉢植えで育てる場合には、市販の培養土を購入して使ったり、基本的な土の配合である赤玉土7:腐葉土3の割合でブレンドしたりして、植え付けてあげましょう。
水やり
鉢植えの水やり
鉢植えは土の表面が乾いてから水やりをします。
鉢底から水が流れ出るまで、十分に水やりを行いましょう。
夏は特に水が乾くのが早いので、気温によっては朝と夕方の1日2回水やりを行うと、水切れを防げます。
冬に地上部の葉を全て枯らしているような落葉性のアガパンサスは、どうしても水やりを忘れがちです。
土の表面が乾いてから3日〜5日してから、水やりを昼間のあたたかいうちに行うようにしましょう。
地植えの水やり
地植えにしたアガパンサスは、降雨だけで育つので、水やりの必要はありません。
夏の高温期に極端に雨が降らない時期が続くようであれば、ホースを使って水を全体にかけてあげるといいでしょう。ハダニ予防にも効果的です。
肥料
元肥
やせ地でも育つので、肥料を施さなくても問題ありません。
もし、土質が気になるようであれば、腐葉土や堆肥をすき込み、有機物を増やしてあげるといいでしょう。
元肥や腐葉土、堆肥を与えた場合には、追肥は必要ありません。
追肥の仕方
花付きが悪くなったり、生長が衰えたりした時は、液体肥料を希釈して水やりと同時に与えましょう。
鉢植えで育てているアガパンサスは、土の中の養分が次第に失われていくので、春と秋の年に2回緩効性化成肥料を与えてください。
植え付け・植え替え
【地植え】スペースを十分に確保しよう
アガパンサスは大株になるので、地植えする場合には十分なスペースが必要となります。周りとの間隔をあけて、株が密集しないように植え付けましょう。
植え付ける場所は、日当たりと風通しがいい場所を選べば、花付きがよく、元気にアガパンサスが育ちます。
【地植え】根茎・苗の植え付け方法
アガパンサスの根茎や苗を地植えする場合、土に堆肥、腐葉土をすき込み、大きなスコップを使って深く耕しておきます。水はけが悪い場合は、赤玉土も一緒に混ぜます。
次に、根茎や苗を植え付けます。浅めに植え付けるのがポイントです。深植えをしないよう、根茎の先が少し出るようにして植え付けましょう。すでに緑の芽が出ている場合は、芽を地上部に出して植え付けてください。
植え付けてからしばらくの間は、根がまだ張っていないため、水やりをします。土の表面が乾いたら水やりをしましょう。降雨がある場合は様子を見ながら水やりをしてください。
鉢植え】根茎・苗の植え付け方法
アガパンサスは大きくなるので、地植えで育てることが多い花です。しかし、鉢植えでも育てられるので、アガパンサスが引き立つようなおしゃれな鉢に植えてみましょう。
準備するもの
- 鉢
- 用土
- 鉢底石
- 割り箸、棒など
はじめに、鉢に鉢底石を敷いておきます。必要であれば、鉢底ネットも敷きましょう。
次に、用土を入れて、アガパンサスの根茎、又は苗を入れ、用土で高さを調節しながら植え付けます。根茎は先が少し見えるように植え付け、ウォータースペースを確保しておくといいでしょう。
最後に、割り箸や棒を使って土をゆすり、隙間にも土を入れ込んで植え付けの終了です。
植え替えのタイミング
アガパンサスは生育が旺盛なので、鉢植えで育てるには植え替えが必要になります。鉢底から根が飛び出してきたら植え替えのタイミングです。春か秋に一回り大きな鉢に植え替えましょう。
地植えは数年間植えっぱなしでも問題なく生長します。アガパンサスが大きくなりすぎた場合には、株分けをして植え替えるといいでしょう。
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手入れ
花後の剪定
アガパンサスの花が咲き終わったら、花茎を根元から剪定します。
花をそのままにしておくと、種をつけるために株が弱ってしまうので、早めに行いましょう。花が終わった後に剪定をすることで、次の花が咲きやすくなります。
増やし方
アガパンサスは株分けで増やそう
アガパンサスは種まき、挿し木、株分けで増やすことができます。
もっとも簡単な増やし方は、株分けです。株が大きくなってきたら、アガパンサスを掘り上げて株分けをするといいでしょう。
株分け時期は、花が咲き終わった頃が適期です。ぜひ、この時期に株分けをして、アガパンサスを増やしてみましょう。
株分けの方法
アガパンサスを株分けするには、鉢植えであれば鉢から引き抜き、土を落としておきます。地植えしてあるアガパンサスは、スコップを使い、根を傷めないよう丁寧に掘り上げます。
葉の下には根茎と呼ばれる大きく太い根がついているので、ナイフを使って切り分けていきます。この時、切り分けた根茎に、根といくつかの芽がつくように切り分けることがポイントです。
株分けをしたアガパンサスを植え替えて、しっかり水やりをしておきましょう。
病気・害虫
アガパンサスは丈夫な花
アガパンサスは病気にかかりにくく、丈夫な花として知られています。
病気にかかることはほとんどありませんが、水はけが悪かったり蒸れたりすると、まれに根腐れやカビが発生することがあります。
日当たりがよく、風通しのいい場所に植え付けるようにして、蒸れを予防するといいでしょう。
アブラムシに気をつけよう
害虫被害もあまりありませんが、花や蕾にアブラムシが付くことがあります。
アブラムシがたくさん発生しないうちに、殺虫剤を使って早めの対策を取りましょう。
アガパンサスを育てよう
アガパンサスは一度植え付けてしまえば、植えっぱなしで何年も楽しめるです。
大きな大輪の花はゴージャスで人目を引く美しさ。育てて切り花にして楽しむのもおすすめです。
初心者でも育てやすい多年草なので、ぜひ庭に植えて綺麗な花を毎年咲かせてみてはいかがでしょうか?