夏の花壇には欠かせないペチュニア。しかし、「徒長してしまった」「うまく育たない」など、うまく育てられない方も多いはず。そこで今回は、ペチュニアの育て方や注意点について詳しく解説します。摘心や切戻しの仕方などもぜひ参考にしてください。
ペチュニアとは?
ペチュニア

科・属名 | ナス科 ツクバネアサガオ属 |
園芸分類 | 草花 |
形態 | 一年草 |
耐寒性 | 弱 |
耐暑性 | 強 |

ペチュニアの特徴
ペチュニアは品種改良により、非常に多くの種類や花色があります。生長の仕方も品種によってさまざまで、こんもりと繁るように咲くもの、ギュッとまとまって成長するもの、茎が踊るように伸びていくタイプなど、種類によって育ち方が異なります。
ペチュニアの花は多花性で、春から秋までと長い間咲き続け、ボリュームたっぷりに花壇や庭を賑やかに飾ってくれます。花が終わるとすぐに種をつけるので、株が弱らないよう花がら摘みが欠かせません。
そしてペチュニアを育てる中で、もっとも注意してもらいたいのが、ナス科の植物は連鎖障害を引き起こすということ。昨年と同じ場所にペチュニアを植え付けてしまうと、株がうまく生長せず、徒長してしまう原因となります。
ペチュニアを同じ場所に植え付けたい場合は、土を入れ替えるといった大掛かりな作業が必要です。土の入れ替えをしない場合、少なくとも1年以上の期間をあけて連鎖を避けるようにしましょう。
いろいろな種類のペチュニア・人気品種
ペチュニアには非常に多くの種類があります。ここからは人気品種やおすすめの種類を見ていきましょう。
サフィニア
サントリーでは一般的なペチュニアよりも大きく育つサフィニアシリーズが大人気。一株でも非常に大きく生長し、丈夫に育つことも人気の理由です。サフィニアを鉢に植えれば、花がこぼれ落ちるような素敵な鉢植えができるでしょう。
八重咲きペチュニア・黒真珠
【花苗販売4月上旬〜発送】ペチュニア 花衣〜はなごろも〜黒真珠 10.5cmポット苗
黒い花色にクリームイエローの縁が入るとても珍しい色が特徴の黒真珠。とてもペチュニアとは思えない豪華絢爛な花姿が人気です。寄せ植えやハンギングにもおすすめです。
ペチュニア・ドレスアップ
巨大輪・人気の八重ペチュニア「ドレスアップネオ」【ホワイト】(10.5cmポット苗)タキイ種苗育成(ペチュニア 苗 セットサフィニア) 八重咲き
タキイからは、ゴージャスな八重咲きタイプのペチュニア・ドレスアップが人気です。花色のカラーが豊富で、何よりも豪華な花付きが魅力のペチュニアです。鉢植えでゆったりと植えれば辺りを華やかに飾ってくれるでしょう。
スーパーチュニア・ビスタ
花苗ペチュニア スーパーチュニア ビスタ 選べる花色は6色 3号ポット PW(PROVEN WINNERS) ガーデニング 寄せ植え
このペチュニアは従来のペチュニアと比べて、暑さや雨にとても強いといった特徴があります。生育旺盛で花色も豊富。いくつかの賞を受賞しているペチュニア界の人気品種です。育てやすいペチュニアの苗を購入してみましょう。
和ペチュニア
「和」がテーマの花色が特徴の和ペチュニアシリーズは、シックでおしゃれな雰囲気があり、注目を集めている品種です。こちらは八重咲きペチュニアの「綿菓子」という種類。ふんわりとした花姿が綿菓子のようで可愛らしいペチュニアです。珍しい綿菓子のペチュニアをぜひ購入して育ててみてください。
ペチュニアの育て方
それでは、ペチュニアの育て方についてポイントごとにみていきましょう。
ペチュニアの育て方【環境】

日当たりのいい場所で育てよう
ペチュニアは日当たりのいい場所を好みます。真夏の直射日光にもよく耐えるので、一日中日光に当たる場所に植え付けて問題ありません。風通しがいい場所を選ぶのもポイントです。
高温多湿には弱い
ペチュニアは暑さには強い草花ですが、高温多湿の環境には弱く、梅雨の時期には枯れてしまうこともあります。鉢植えの場合には雨の日は軒下へと移動させるといいでしょう。地植えの場合は雨よけが基本的にできないため、梅雨がくる前の時期に切り戻しや剪定をしておくことをおすすめします。
ペチュニアの育て方【用土】

水はけの良い土作り
蒸れや湿気に弱いペチュニアには、水はけのいい土作りが肝心です。また、有機質に富んだ土も好みます。赤玉土6:腐葉土4の土作りの割合に、さらにピートモスや鹿沼土などを少し加えてブレンドしてみると良いでしょう。
市販の培養土もOK!
「土作りが難しい」「余った腐葉土や赤玉土の保管場所が足りない…」そんな悩みのある方は、あらかじめ基本用土や補助用土などがブレンドされている市販の培養土がおすすめです。ペチュニアは草花用の培養土でも問題なくしっかりと育ちます。
培養土が重くて運搬が難しい方はネットショップでの購入も検討してみましょう。
ペチュニアの育て方【水やり】

水やりは株元へ
水やりをする時には、必ずペチュニアの株元へかけるようにしましょう。花に水をかけてしまうと、そのまま花が痛み、腐って溶けてしまいます。病気を発生させて枯れる原因にもなるので、花に水はかけないように注意してください。
水やりのタイミング
ペチュニアを地植えしている場合には、降雨だけで問題なく育ちます。しかし、雨が降らず暑い日が続くようであれば、ペチュニアも萎れてしまうことがあるので、時々水やりをしてあげてください。
ペチュニアを鉢植えで育てている場合には、土が乾いてからたっぷりと水やりをしましょう。夏の昼間に水をかけると、与えた水がお湯になり、高温多湿の状態を引き起こします。ペチュニアが弱る原因となるので、朝か夕方の涼しい時間帯に水やりをしましょう。
ペチュニアの育て方【肥料】

長く開花させるには肥料が肝心
ペチュニアは絶え間なく花を咲かせるため、肥料は欠かせません。植え付け時には緩効性肥料を元肥として与え、植え付けて1ヶ月経過した頃に追肥を施し、肥料切れを防ぎましょう。
緩効性肥料と液体肥料のどちらかを与えてください。緩効性肥料は月に一度、液体肥料は1週間から10日を目安に与えるようにします。
葉色が薄くなってきたり、花付きが悪くなってきたりした場合には、肥料切れを起こしていることがあります。その場合には速効性のある液体肥料を水やりと同時に与えましょう。
肥料は規定量を守って!
肥料の与えすぎはかえってペチュニアによくありません。肥料の与えすぎで肥料焼けを起こし、ペチュニアが弱ってしまいます。緩効性肥料や液体肥料にはそれぞれ一回の規定の量が記載されているので、そちらをチェックしてから肥料を与えましょう。
ペチュニアの育て方【植え方】

庭や花壇への植え方
庭や花壇へ植え付ける際には、あらかじめ2週間ほど前に苦土石灰をまいておくと、土壌改良になるのでおすすめです。
庭や花壇の土が固く、粘土質のような土の場合、赤玉土、堆肥、腐葉土、元肥をすき込みます。普段草花を植えてある土は、堆肥や腐葉土、元肥を入れて土壌改良し、土の中の微生物を増やしましょう。スコップで土を深くまで掘り、堆肥や腐葉土、赤玉土をよく混ぜ合わせてから植え付けます。

次に、ペチュニアの苗をポットから取り出します。この時に根鉢が白くなるほど根が育ってしまっている場合には、根の定着を良くするために根を少し切ったり、ほぐしたりして、新たな根の発根を促します。
植え付ける間隔はペチュニアの品種や生長の仕方によって異なります。栄養系ペチュニアは基本的に株張りが大きく育ちます。その中でも横へ横へと広がるようなタイプは、60センチほどの間隔をとった方がいいケースがあります。栄養系ペチュニアでこんもりと茂るような品種、上に伸びていく品種や、実生系ペチュニアは30センチ以上の間隔をあけて植え付けていきましょう。
鉢植えやプランターの選び方
鉢植えは鉢選びが重要です。植え付けるペチュニアがどのように生長するタイプなのかを確認してから鉢選びをしましょう。こんもりと茂るタイプのペチュニアは、おしゃれな鉢やプランター向きです。横に這うようなタイプのペチュニアは、ハンギングにして壁掛けにするのも素敵ですね。サイズはペチュニアの2回りほど大きいサイズを選びましょう。
鉢植えやプランターの植え方
鉢底の穴が大きいときは、鉢底ネットを敷いて用土の流出を防ぎます。次に鉢底石を敷き入れます。鉢底石がない場合には、赤玉土の大粒、中粒が代用可能です。
用土を1/3ほど入れてペチュニアを植え付けていきましょう。鉢やプランターの上部の縁から3センチほどはウォータースペース用にあけておきたいので、ペチュニアの高さを土で調整しながら植え付けます。浅植えや深植えにならないよう、株元を見ながら植え付けましょう。
ペチュニアの育て方【摘心】

摘心する期間
ペチュニアを植え付けてから2〜3週間の間に摘心してあげることで、さらに株を大きくさせることができます。脇芽が増えて後々豪華な花姿になりますよ。
摘心の仕方

葉がついている箇所から脇芽が出るので、好きな場所で摘心をしましょう。バランスを見て、①②③の箇所を切り取ります。

上記の画像は③の位置で摘心をしたペチュニアです。摘心した箇所からはすぐに脇芽が出るので、結果的に花数が多くなり、これからどんどん花がたくさん開花していくでしょう。
ペチュニアの育て方【切り戻し】

切り戻しする時期
ペチュニアは切り戻しをしないでいると、茎の先端部分にしか花が咲かなくなります。中心部分がスカスカの状態になってしまい、見た目もあまり良くありません。綺麗に長く咲かせるには、切り戻しが必要になります。
花が一通り咲き、植え付けて約2ヶ月ほど経過した頃には切り戻しをおすすめします。また、梅雨が到来する前に切り戻しをするのもおすすめです。梅雨前の切り戻しは間延びするのを防ぐとともに、雨による蒸れを防止することができます。ペチュニアは生育が旺盛なので、基本的にはいつ切り戻しをしても大丈夫です。姿が乱れてしまった場合にも、切り戻しや適宜剪定をしていきましょう。
切り戻しの仕方
ペチュニア全体が1/2〜1/3になるよう、切り戻しをします。この時注意したいポイントが、必ず葉を一枚でも茎に残すよう剪定をしてください。葉を残さずに剪定してしまった茎は、そのまま枯れてしまいます。葉を残すように切り戻しをすることが上手な切り戻しのコツになります。
ペチュニアの育て方【手入れ】

花がら摘み
ペチュニアは多花性で、株いっぱいに花を咲かせます。咲き終えた花は種をすぐにつけてしまうので、萎れた花を付け根から摘み取りましょう。種をつけると株が弱る原因となるので、普段の手入れの中で花がら摘みとともに、取り忘れて種がついてしまっていないか確認しながら手入れを行いましょう。
雨の後の手入れ
雨が降った後は要注意です。栄養系のペチュニアで雨に強い品種は問題ありませんが、実生系のペチュニアは雨に濡れた花をそのままにしておくと花が腐り、株全体が病気になってしまうことがあります。雨の後にペチュニアの花が茎や葉にくっついているような場合は、溶けたりカビてしまわないよう、綺麗に取り除いてください。
ペチュニアの育て方【病気・害虫】

アブラムシ
アブラムシの被害に合いやすいです。ペチュニアの養分を吸汁してしまうので、大量発生した場合には殺虫剤をかけて駆除しましょう。
ハダニ
夏の高温期に、雨が降らない日が続くとハダニが発生しやすくなります。葉に小さな赤いダニがつき、被害にあうと葉がくすんだような色味になります。ハダニやアブラムシの排泄物から病気を発生させてしまうこともあるので、早めに対処しましょう。ハダニは水をかけて洗い流すのも効果的です。
ナメクジ
梅雨の時期に特に注意しなければならないのが、ナメクジによる食害です。花や茎を食べてしまうので、ペチュニアの景観が損なわれます。予防に住友化学園芸 オルトランDX粒剤 1kgをまいておくとナメクジの他にもネキリムシ、コガネムシの幼虫などによる被害を防ぐことができます。
灰色かび病
雨の後、濡れて葉や茎についた花を放置しておくと、カビが発生して灰色かび病になることがあります。特に梅雨の時期は灰色かび病が発生しやすいので注意しましょう。
ペチュニアの花を綺麗に長く咲かせよう

ペチュニアは暑さに強く、夏の花壇には欠かせない花のひとつです。
育て方の注意点としては、
- 高温多湿に気をつける
- 連鎖障害を起こさないように植え付ける
- 切り戻しを行う
- 花柄摘みや雨後の手入れを行う
これらのポイントを押さえて、ペチュニアを元気に育てていきましょう。ペチュニアの人気品種も要チェックです。